社会や産業を取り巻く変化
社会や産業は、資源を使い切る時代から、価値を循環させる時代へと移行しています。環境配慮は新たな価値創出の前提条件となり、製品の「寿命を延ばす」ことと、「寿命後をどう設計するか」が企業の競争力を左右する鍵となっています。
一方、使用済み製品を回収し、機械破砕によって不要物を除去する従来のリサイクル工程では、材料の高純度化・高品位化に限界があり、再生材料の活用は十分に進んでいません。例えば使用済み家電から回収・再生されたプラスチックのうち、再び家電製品に利用されている割合は10%以下にとどまっており、再生材のさらなる活用が社会全体で求められています。
本プロジェクトが描く未来像
DfCEが目指すのは、製品の価値を一度きりで終わらせないモノづくりです。
・分解しやすく、製品や部品を再利用できること
・素材ごとに分別でき、次の価値へと循環させられること
・その循環から生まれる価値を、必要とするお客様へ確実に届けられること
DfCEは、こうした循環のプロセスを逆算し、設計そのものを進化させます。
私たちが取り組んでいるのは、設計情報を起点に、分解・再生・再流通までをシームレスに見据えたモノづくりです。設計と分解・再生を技術でつなぎ、設計段階から「循環」を構造として組み込む。このアプローチこそが、資源価値と顧客価値の両立を可能にします。
循環を前提としたモノづくりを、社内外のパートナーとともに広げ、持続可能な社会の実現へ。DfCEは、未来のスタンダートを創り出します。
技術概要
DfCEを支える中核技術が、設計情報をデジタル空間で高度に活用する「分解CPS(Cyber Physical System)」です。
分解CPSは、製品の分解動作や所要時間をサイバー空間でシミュレーションし、最適な分解手順や分解性を評価する仕組みです。その解析データは、製品設計や自律分解ロボットにも反映され、部品の再利用やリマニュファクチャリング(再製造)の効率向上を可能にします。
さらに、保守性を高める設計思想を組み込むことで、製品の長寿命化と再資源化を高い次元で両立させています。
技術の特長
資源循環を促進する設計支援技術
CADモデルを入力情報として部品間の幾何拘束を解析し、最適化手法により「分解可否」や「分解手数」を含む分解手順を生成します。さらに、導出した分解手順に基づいてロボット動作を生成し、分解性を定量的に評価します。
さらに、蓄積された分解データを活用したAIアシスタントが、分解しやすさを高める設計改良案や設計ガイドラインを提示。試作に依存しない設計検討を可能にし、開発効率の向上とコスト削減を実現します。
高純度な素材回収を実現する精緻分解技術
分解CPSにより、製品の設計情報をもとに分解手順とロボット動作をサイバー空間で最適化。現場では、そのデータを実機にインストールするだけで、ロボットが構造を理解し自律的に最適な手順で分解を実行します。これにより、破砕を伴わず、部品や素材を高品位な資源として回収することが可能になります。
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物理シミュレーション -
実機検証
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本技術は、NEDOプロジェクト「高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発」の一環として、大阪大学大学院基礎工学研究科、東京理科大学創域理工学部、東京大学大学院工学系研究科への委託研究により開発しています。
適用例
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分解しやすい設計を起点とした
「長寿命化・メンテナンスサービス」DfCEに基づく分解しやすい設計により、修理・清掃といった保守作業を効率化。修理時間と作業負荷の削減に加え、製品寿命の延伸と保守サービス価値の向上につなげます。
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循環型価値を生む「再生・再流通サービス」
DfCEに基づく設計と再生プロセスにより、返品品やサブスク回収品を高品質に再生。再販売・再サブスクへ展開することで、廃棄削減とサービス価値向上を同時に実現します。