2019/9/9

離床アシストロボット「リショーネ」開発者インタビュー

顧客×パナソニック共創事例
離床アシストロボット「リショーネ」開発者インタビュー 離床アシストロボット「リショーネ」開発者インタビュー

(開発者)
パナソニック株式会社 ライフソリューション社 エイジフリーBU ロボット・リハビリ事業開発部 課長 久米洋平
パナソニック株式会社 ライフソリューション社 エイジフリーBU ロボット・リハビリ事業開発部主務 塚田将平
(共創パートナー)
パナソニックエイジフリー株式会社 ライフサポート事業部 介護サービス本部 課長 佐々木仁史

*撮影日:2019年3月7日

現場が求めるのは実際に使える介護機器

2006年の社内公募制度によりR&D部門 ロボット開発室に異動してから介護ロボットの開発をしている久米。実際に介護現場の方にヒアリングを行う中で、心身負担の大きい作業の一つである、ベッドから車いすの移乗(トランスファー)にフォーカスし、介護ロボットの開発をスタートさせたという。

インタビュー風景

現場で求められているのは、いわゆる介護ロボットではなく、実際に現場で役に立つ介護機器だという。そこで、ロボット技術を応用しながら役立つ介護機器を作ることをコンセプトに掲げ、日々研究・開発を進めている。

トランスファ・アシスト・ロボット

最初に開発したのはトランスファ・アシスト・ロボット。いわゆる、お姫様抱っこをするような形で、人と同じような抱き上げ作業をするロボットだ。しかし、このトランスファ・アシスト・ロボットには本質的な3つの問題があった。1つ目は、抱き上げているため、どうしても転落リスクが残ってしまうこと。2つ目はスペースの問題だ。比較的狭い介護現場の居室に、ベッドと車いすに加え、もうひとつ機器を設置するとなると、スペース上難しいのではないかということだ。そして3つ目が操作性や安心感の問題である。ベッドや車いすといった介護機器は、これまでも目にしているものだが、新しい介護ロボットとなれば、介護する方は操作に不安を覚えたり、介護される方は初めて見る介護ロボットに不安を感じたりするものだ。イメージしていた抱き上げ型ロボットの延長では商品化が難しいという結論に至り、ベッドと車いすを一体化するというアイデアにたどり着いた。大きく方向転換したこのアイデアが、リショーネの誕生に繋がる。

リショーネの誕生

久米と共に介護ロボットの開発に携わり、ベッドの一部が車いすに分離できる新しいベッド「リショーネ」を誕生させた塚田。リショーネの最大の魅力は、介護者の心理的不安、身体的負担を減らすことができる点だという。

インタビュー風景

通常であれば、ベッドから移乗するときには、介護者が抱き上げ、車いすに移すことになる。リショーネは、本人が寝ている状態で車いすにできるため、抱き上げる必要がない。介護する側の腰への負担なども軽減できるだけでなく、落としてしまう不安、そして「落とされたら怖い」という介護される側の不安も軽減できるという。背上げ、足上げ、昇降という通常の介護ベッドと同じ機能を持ち、車いすになったときには、いすの姿勢に変形することができる。それぞれの基本的な機能を実現しながら融合できたという点において、世界初のものであり、オリジナリティとなっている。

現場の人と共に、創る

現場で実際に使用した感想について「すごいと思いました」と、驚いたことを振り返る佐々木。それまで介護者2〜3人で行なっていた作業が、1人で移乗できる点は一番画期的な点だったという。

インタビュー風景

実際に現場で働く職員の動きを見るために、開発者が一緒になって夜勤をしたこと、職員の生の声を細かく丁寧に聞くことで、課題を吸い上げた点がリショーネの誕生につながったという。現場の声は、言葉だけではなかなか伝わりにくいもの。大切なのは、現場で自分の目で見て、声を聞くこと。介護の現場で、介護スタッフが肌で感じていることが課題になると考えている久米。現場に足を運び、現場の声からヒントを得て介護機器を開発する、そして、現場で機器を評価し、現場で役に立つ介護機器に改良していく。現場と開発者との連携は、介護ロボット開発で欠かせないものなのだ。

本記事は、離床アシストロボット「リショーネ」【顧客×パナソニック】動画を元に作成しております。動画をご覧になりたい方はこちら