UMOZはコケの環世界にインスピレーションを得て制作した移動式ロボットです。
コケは日光・水・空気を葉や茎などから吸収し、それぞれの種類が適した環境に根差します。コケには「仮根」という器官があります。仮根は一般的な植物の根とは異なり、養分や水分を吸収する機能を持たず、ただ定着するための脚のような役割を果たします。そのため、コケは他の多くの植物のように土が必要ではなく、石の上や木の表面などに定着することができます。
一方で、人間が暮らす現代社会は光や湿度が自在に制御され、環境の状態は常に移り変わっていきます。 そのようなある意味「制御された自然」環境でコケが合理的に生きるとしたら、仮根は「根差す」のではなく「移動する」ための器官になるのではないでしょうか。
コケの移動能力を拡張することは、コケの知覚が振る舞いとして表出されることにつながります。コケの環世界について考えるきっかけをつくることで、人のコケや自然環境に対するエンパシー(共感)を促進させます。