「Aug Lab」の共創パートナーとして、共に「Augmentation」の価値探求をしていくこととなったコンテンポラリーデザインスタジオ、株式会社ウィープラス(以下、we+)。「機能性を求めつつも、新しい可能性を探るきっかけをつくりたい。デザインの選択肢はもっと広いものではないか」という考えのもと、社会に対してオルタナティブな選択肢を提示するために、さまざまなモノ・コトを新しい切り口から再構築するアプローチを自分たちの役割とし、活動を続けている。「Aug Lab」の活動は、we+が興味を持っている分野と重なる部分があるという。「Aug Lab」に興味を持ち、応募に至った経緯や、パナソニックとの“共創”で期待すること、we+が目指すものについて、we+の安藤氏、林氏、関口氏に話を伺った。
今の状況を乗り越えたところに「Well-being」がある
「Aug Lab」共同パートナーに2019年に採択されていた株式会社コネルとも親交があったwe+。「面白い取り組みがある」と「Aug Lab」の存在を知ったという。「話を聞いたのは外出自粛期間のタイミング。自分たちの手を動かし、新しいものを作るよりも、立ち止まってこれまでの活動を振り返り、深く考える時期と重なった」と関口氏が説明する。
自然災害やウイルスの蔓延、自然に翻弄されている状況にある今の状況を乗り越えることでWell-beingがあるのではという考えが、「Aug Lab」が目指す、自己拡張からのWell-beingの世界と繋がる部分があると感じたそう。
デザインスタジオとしてクライアントワークに携わりながら、展示などの“発表をする場所”を大事にしてきたと語る安藤氏。そこで得たのは「自然の不確実性を活かす」「共感を促す」という2つのキーワードだったと振り返る。「Aug Lab」への応募に際し「新しいテーマを掘り出した感覚はなく、もともと気になっていたものを紡いでいったという感覚」だそう。林氏は「共感する点が多く、「Aug Lab」とは混ざり合える気はしていた」と応募のきっかけを説明する。
自然現象という大きすぎるテーマを絞り込む必要があると考え、「水」というテーマに着目。水は、「Cuddle」(照明と水の組み合わせで光・水・影の関係の更新を試みる照明)や、「MOMENTum」(テーブルの中に水の細やかな躍動を生み出し、鑑賞を促すローテーブル。KAPPES名義で制作)をはじめ、we+がこれまでも関わってきた馴染みの深いテーマでもある。
「Aug Lab」との共創に期待すること
林氏は「現在は、水のスタディをしている段階。1日何度も触れる水を今までになかった視点でさわったらどうなるのか。水にまつわるものを一通りリストにあげて、興味深そうな事象をピックアップし検討しているところ」と説明する。
安藤氏は「サイエンスを専攻していたというバックグランウンドがないことで、一見遠回りに見えるところからおもしろい発見があることは、経験上わかっているので大切にしていきたい」とアプローチスタイルを語る。「想像できると共感できる。想像できなければ共感できない。誰もがわかる水をテーマに選ぶことで、原体験と交わる場所へと紐づけるようになる」と安藤氏が解説すると、林氏は「みんなが共感でき、“見たことある”・“知っている”という感覚で話についていけるような瀬戸際を狙っていきたい」と補足した。
パナソニックの人の感覚を数値化するセンシング技術に注目しているという関口氏は「Aug Lab」との共創で「環境という感覚を数値化してそれを水で表現することを一緒に実現して行きたい」という。「水をどう変えていくのかを掘り始めている段階。改めて見てみると、水回りのプロダクトが多いパナソニックとの親和性は高い」と語る林氏。安藤氏も「私たちが普段作っているのは、展示するもの。一方で、パナソニックは一般の生活とのタッチポイントがとても多い。そこがうまい具合にかけ合わさるとおもしろいものになる」と期待を寄せた。
【会社概要】
株式会社ウィープラス(we+ inc.)
リサーチと実験に立脚した独自の表現手法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ。ブランディング、R&D、空間デザインやインスタレーションなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。
https://weplus.jp/