新エネルギー時代を創る太陽電池

新エネルギー時代を創る太陽電池

飛行機も太陽電池で飛ばせたなら

「自動車、そして飛行機をも太陽電池だけで動かす」――。TI本部の松井研究員が描く未来だ。いま松井が開発に力をいれているのは、特殊なインクを塗ることで太陽電池になる製品。価格を大幅に下げ、屋根の上などに限らず設置する場所を選ばない製品にすることで太陽電池の普及を狙う。
パナソニックはシリコン太陽電池の分野で発電効率はトップレベルだ。しかし、開発や生産に資金がかかるため、シリコン太陽電池の普及には補助金や売電などのサポート制度に依存する部分が多い。ならば開発や生産コストを下げることで製品価格も下がり、広く普及することで太陽電池を経済的に“自立”させたい。そこで考えたのが、インク式の太陽電池。使う人が増えていけば、いまメインの原子力・火力発電が太陽エネルギー発電にシフトしていく。これが松井の目指す「エネルギー革命」だ。

インタビュー風景

世界で戦うこと

学生時代にシリカゲルの素材研究に打ち込んだ松井の先輩や同期の多くが就職したのは、素材メーカー。ただ、松井は「せっかくなら素材から最終製品までかかわりたい」と総合メーカーのパナソニックを選んだ。有機ELの技術者として勤務していたときに、新しい太陽電池のプロジェクトの立ち上げメンバーに加わり、最先端の技術を学ぶために2年間、スイスの大学に留学。優秀な研究者らとしのぎを削って研究し、その成果を日本へ展開。当分野でのパナソニックのレベルを世界トップレベルへと引き上げた。
それまで著名な研究者達を遠い存在と感じていた松井。だが、スイスの大学で研究に打ち込む中で、「研究者として世界の最先端の技術に触れ、世界と戦っていくことに楽しさを覚えた」。

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そして、技術で世界を変える

素材開発について「最先端の解析、計算科学を活用して効率的に進めているのがパナソニック」。建材も扱う総合メーカーだけに、「素材の使い道は多岐にわたるのがやりがいのひとつ」だ。情報は会社内にいても様々なコミュニケーション手段で手に入れることができるが、企業内研究者として、「会社の外に出て活躍しなければならない」と思う。最新の情報やトレンドは現場にいて、空気感を肌で感じてしか得られないからだ。最先端の現場を意識しながら「企業人として、また一研究者として大成したい」と話す松井の視線は世界にある。留学を通じて世界と戦っていくことを決めた松井の目指すものは「『パナソニック発』の世界を変える技術開発」だ。

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松井 太佑
松井 太佑

専門:光電変換デバイス、材料化学
テクノロジー本部マテリアル応用技術センター

※所属・内容等は取材当時のものです。