お客様の課題解決と価値創出を支える仕組み

「現場CPS(Cyber-Physical System)」は、IoT・センサー・AIなどの先端技術を活用し、現実空間をデジタルで把握・制御可能にすることで、新たな価値を創出する技術基盤です。

長年にわたり製造業で培った独自の知見と技術を活かし、現場(フィジカル)を高速かつ高精度にデジタル化。
現場と基幹システムの双方を支える現場CPS化技術により、現場の状況をリアルタイムで把握・最適化できる環境を構築します。これにより、人は創造性や付加価値の高い業務に集中できるようになります。

従来の「カイゼン」の枠を超え、業務プロセスそのものを再設計することで、現場に「有意義な時間」を生み出す――それが、私たちが目指す現場CPSの姿です。

現場CPS化技術

現場CPS2.0

現場CPS2.0は、パナソニックHD技術部門が2024年に策定した技術未来ビジョン※1で示された、3つのめざす姿の1つ「有意義な時間の創出」を体現する中核活動の1つです。労働の効率化や質の向上を目指し、現場改善に留まらず、業務プロセスの上流工程に遡って業務全体の標準化と最適化を図るフィードフォワード型のCPS※2ソリューションです。

  

※1 技術未来ビジョン https://tech.panasonic.com/jp/phd/technology-future-vision/

  パナソニックHD技術部門が2040年を見据えて研究開発の方向性を策定 https://news.panasonic.com/jp/press/jn240725-1

※2 通常の改善に加え、上流(企画・設計・計画・プロセス)に遡って提案をするCPS

特長

  • 上流工程含む業務プロセス全体の最適化
  • AIエージェントとの対話・協働による意思決定支援
  • 人の状況・行動理解と業務支援
「現場CPS2.0」による真の効率化

『現場CPS1.0』で培った現場ノウハウを基盤に、カメラ・設備・作業者・設計・計画など多様な実績データと設計データを組み合わせて、標準化・最適化を図ることで、現場単位での効率化にとどまらず、業務全体の因果関係を把握します。

これにより、上流プロセスへのカイゼン適用を可能にし、課題の根本的な解決と生産性の劇的な向上を実現します。

「現場CPS2.0」の構成

「現場CPS2.0」は、計画・保守・安全・コスト管理など、目的に応じて異なる役割を担うエージェントが現場ごとに配置され、相互に連携しながらユーザとの対話・協働を通じて業務を最適化します。

さらに、AIおよび多様なセンシング技術により蓄積されたデータベースを基に、エージェント技術が他のデータソースともインテリジェントに連携。工程・設備・作業者などの現場データに加え、従業員の状況や行動を理解することで、意思決定の高度化と人中心の業務最適化を自律的に実現します。

このように構成された最新のCPSソリューションは、単なる効率化にとどまらず、働きやすい環境づくりや業務品質の向上にも貢献していきます。

関連リンク

現場CPS2.0 アプリケーション例

ユーザとAIエージェントの対話によって故障要因可視化と自動改善提案を実現します。現場データに加え、現場ノウハウを参照することでAIエージェントによる精度の高いFMEA解析を実現します。

  

※ Failure Mode and Effects Analysis 故障モード影響解析

  • 現場データ(現場映像など)に加え、現場ノウハウ(過去事例など)を参照することでFMEA解析の精度向上を実現。

  • AIチャットを通してユーザがAIエージェントと対話することで、故障要因可視化と自動改善提案を実現。

現場CPSで実現する“最適な働き方と価値創出”

現場で蓄積された多様なデータと生成AIを活用することで、従来の改善活動を超え、企画・設計・計画などの上流工程にまで遡った本質的な業務改善が可能になります。これにより、従業員一人ひとりの働き方に柔軟性と創造性が生まれ、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の両面での価値向上を実現します。

こうした取り組みは、あらゆる現場へと柔軟に展開可能であり、製造業界、外食業界、サービス業界、介護や病院のようなエッセンシャルワークの現場など、幅広い分野への適用を進めていきます。

最高のパフォーマンス発揮
(効率性の向上)

各従業員が、戸惑うことなく、身体的・精神的・時間的に余裕を持って、効率よく働ける職場環境を構築

最高のパフォーマンス発揮
ユースケース例:
  • 飲食業界向け、店舗のレイアウト・動線の見直し支援
  • 外食業界向け、混雑ピーク時の従業員配置計画支援
  • 製造業界向け、設計段階からの業務プロセス最適化
【現場データ例】

人の動き、サイクルタイム、生産計画・実績、設備データログ、調達価格、納期制約・出荷スケジュール他

顧客により良い価値を提供
(CX(Customer eXperience) の向上)

高品質な提供・接客による顧客満足と従業員の働く意欲の向上

新メニュー開発
ユースケース例:
  • 飲食業界向け、需要分析をもとにした新メニュー開発支援
  • 外食業界向け、顧客・店内の状況に合わせた接客支援
  • 製造業界向け、AIとの対話による製品設計支援
【現場データ例】

顧客プロフィール、市場調査、仕入れ価格・コスト分析、試食フィードバック、競合他社動向、過去実績

各々に寄り添った働き方の実現
(働き方の柔軟性向上)

スキル・国籍・性別・ハンディキャップなどの個々の事情や特性に合わせて働け、職場の戦力となる柔軟な働き方を実現

シフト最適化
ユースケース例:
  • 飲食業界向け、短時間勤務の人材活用のためのシフト最適化
  • 外食産業向け、人の状況・行動理解と業務支援
  • 製造業界向け、身体特性に合わせた作業指示の調整
【現場データ例】

勤務希望時間、経験、顧客ピーク時間、過去実績データ、予算・人件費制約

現場CPSを支えるコア技術

センシングAI技術

センシングAI技術により、人・モノ・空間の状態をリアルタイムで把握し、最適な制御や意思決定を支援します。
映像から作業分解、状態センシングなどの構造化・意味付け処理を行い、AIエージェントの精度向上を実現します。
  • 作業分解・時間測定

    繰返し作業の時間ばらつき・
    超過などの分析用計測向け

  • 状態センシング

    作業者の位置、
    それに伴う状態のセンシング

  • 状態変動検出

    危険エリアへの侵入検知、
    高リスク作業の発生・モニタリング

  • 品質検査・不良検出

    部品の外観検査
    (良品・不良品選別)

  • 色濃度検出・分類

    色相分布状態の測定
    (海苔養殖、野菜生育他)

  • 姿勢検出

    人の動作監視・モニタリング
    行動監視(高負荷作業検出)

  • 物体検出

    様々な物体を検知
    交通量調査、駐車場監視、計数、
    欠品管理ほか

  • トラッキング

    様々な物の動きを検知
    人物トラッキング、動線検出

※画像はイメージです

軽量AI・LLM活用技術

軽量AI技術により、低コストエッジデバイスでの高速AI処理を行い、ユースケースの要件に応じた高速AI処理機能の提供を実現します。
CPU-NPUベース軽量AI

CPSアーキテクチャ

CPSアーキテクチャによって、クラウド・エッジ技術の展開性を向上し、現場展開加速を実現します。
クラウド・エッジAI協調型CPS

AI同士のマルチモーダルと補完関係で、
複数のコアインサイトの連携により高精度化を加速します。

エッジAIモジュール

AIを軽量化することで
低コスト・省電力エッジデバイスを開発します。

ソリューション連携

パナソニックグループの総合力を活かした連携により、高付加価値なソリューションの提供を目指しています。