2026.03.30
イベントレポート

【2月EX Monthly Meeetupレポート】
地域社会を牽引し、豊かな未来情景を描く。
門真市で生まれる新たな共創プロジェクトとプラットフォーム

共創 多様性 Monthly Meetup

2026年5月13日、門真市に新たなランドマークが誕生します。その名も、門真市立文化創造図書館「KADOMADO(カドマド)」。京阪本線古川橋駅前に新設される同施設は、「学びで地域を活性化させる図書館」を謳っており、パナソニックや京阪ホールディングスといった地域企業をはじめ、行政や多くの市民を巻き込んで門真らしい “文化創造”に取り組みます。

時を同じくして、京阪本線西三荘駅エリアでは、パナソニックHDの技術部西門真新棟「Technology CUBE」が誕生。「この先100年、働く場、働き方そのものをR&Dし、未来を創る現在進行形の実験場」をコンセプトとしており、技術者の会社として「誰かがつくった」ではなく、「自ら考え、つくり、更新する」ことが思想の軸に据えられています。

KADOMADOを運営するのはカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下CCC)、Technology CUBEはパナソニック。そしてこのエリアを結ぶ京阪ホールディングス(以下京阪HD)。この3社が門真市でつながり、共創の芽が生まれ始めている背景には、門真市(K)、京阪HD(K)、パナソニック(P)、CCC(C)の官民連携プラットフォーム「KKPC」がありました。

今後、門真市を大いに盛り上げることが期待される共創プロジェクト。本稿では、その経緯と展望が語られた2026年2月のMonthlyMeeetupの様子をお届けします。

イベント詳細

EX革新活動をするメンバー同士が活動を共に振返り、フィードバックをし合い、新たな学びの視点を持つことで、今後の活動を加速させることを目的として立ち上がった学びの共有の場。現在はより柔軟に形を変え、社内外の知見を組み合わせることで、新たな共創の形を生み出すことを目的とした、テーマ型のオムニバス形式の勉強交流会へと成長しています。

2026年2月度のテーマは「まちと企業のこれからの『場』づくり~『ひらく』ことで生まれる価値とは~」。門真市長の宮本氏とCCC社長の髙橋氏をお招きし、パナソニックHD役員小川氏を含め、3者でテーマトークを実施しました。

これまでのMonthlyMeetup

登壇者紹介

宮本 一孝(みやもと かずたか)

1970年門真市生まれ。1999年から門真市議会議員を2期、その後、2007年から大阪府議会議員を3期務める。そして、2016年7月に門真市長に就任、現在3期目。「地域に根差した子育て・教育施策の充実」「産業の振興と身近で働ける場の創出」「まちづくりの推進による快適な住まい環境の整備」を柱とした市政運営を推進。パナソニック発祥の地である門真市のブランド力向上と地域活性化に取り組んでいる。

髙橋 誉則(たかはし よしのり)

1973年、東京都生まれ。1997年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)新卒入社後、FC事業本部で人事リーダー職を経て、2006年に自ら社内起業した株式会社CCCキャスティング代表取締役社長に就任。CCC執行役員、株式会社TSUTAYA常務取締役などを歴任。2018年3月末CCCを退社。3年間の主夫を経て、2021年4月にCCCに復帰。2024年4月よりCCC代表取締役社長兼CEO。

小川 立夫(おがわ たつお)

1964年、神戸市生まれ。1989年に松下電子部品に入社し、電子部品研究所に配属。デバイスや材料、プロセスなどの研究開発に携わる一方、米ジョージア工科大学への留学のほか、さまざまな技術部門や企画部門などを担当。高校、大学では合唱の指揮者を務め、その時の経験が今の自身のマネジメントスタイルにつながっており、「ヒトが思わずいい声が出てしまう瞬間とはどんなときなんだろう?」という問いを探求する。

地域に開き、交流から共創を生む場を目指して

MonthlyMeeetup初の新棟での開催。会場は立ち見の参加者が出るほどの大盛況。

2026年2月のMonthlyMeeetupは、新たに誕生したパナソニックHD技術部門西門真技術新棟「Technology CUBE」にて開催。KKPC各組織の関係者を始め、多種多様なバックグラウンドを持つ参加者総勢89名が集まりました。

最初に口火を切ったのは門真市長の宮本氏。ご自身の自己紹介ののち、市の発展について振り返られました。

「門真市が誕生したのは1963年、今から60年以上前になります。当時とは街の風景も大きく変わり、市民の皆様にとって住み良い形に発展し続けてきました。その発展に大きく寄与してくださったのが、当時の松下電器産業株式会社さんです。1933年に本社を門真村(当時)に移転された後、1960年代の高度経済成長期に関連する工場や下請け企業が増え、それに伴い人口も劇的に増加。ものづくりの街として歩み始めました。交通においても、京阪電鉄の高架化に伴い、門真駅が西三荘駅に変わり、新門真駅が門真市駅に改称、主要駅の複々線化が進んで大きく発展しました」。

門真市で生まれ育った宮本氏は、市の歴史を説明する中で自身の思い出深いエピソードも紹介。当時、市の社会教育課に勤めていた父が故松下幸之助氏を訪ね成人式での講演を依頼、今でもその講義録が残っていると嬉しそうに語りました。

冒頭口火を切った門真市長の宮本 一孝氏。

また、CCCとの縁については、パナソニック野球部の壮行会で出会った当時の執行役員竹安 聡氏の紹介でCCCの増田社長(当時)と出会い、会社の成り立ちや図書館運営についての考えをお聞きしたそうです。

CCCの話題が出たところで、バトンはCCC社長の髙橋氏へ。「弊社は京阪沿線の枚方市に一軒の書店を立ち上げたところから始まった」と、京阪HDとのつながりに触れつつ話し始めました。

「私どもは設立41年目になる会社でして、TSUTAYAや蔦屋書店、Vポイント(旧Tポイント)といった事業を手掛けてきました。加えて、近年ではKADOMADOのようなソーシャルデザイン事業にも注力しています。単に指定管理を受けた施設を運営するだけでなく、その枠を飛び越えて地域の方々との交流が生まれる場をデザインしています」。

地域連携の事例を語るCCC社長の髙橋 誉則氏。

髙橋氏は、実際に取り組んでいる事例として山口県周南市の交流施設「周南市立徳山駅前図書館」を紹介。同施設では、地元企業や地域の方々と連携し、中心市街地の活性化に取り組んできました。

「どの地域も似た状況かと思いますが、徳山駅前の商店街はいわゆる“シャッター街”の様相でして、なかなか厳しい状況にありました。こちらを盛り上げるべく、商店街の皆様と協力しながら蚤の市を開催したり、また企業と連携して写真の体験イベントを実施したりと、さまざまな取り組みを行っています」。

他市での事例を紹介したのち、同氏は「ここ大阪は私どもにとって原点の地。地域に根ざした形で皆様とご一緒できるのを心より楽しみにしています」と締めくくり、会場の参加者に共創を呼びかけました。

続いてマイクを受け取ったのは、パナソニックHD役員の小川さん。新棟「Technology CUBE」に足を運んだ会場の方々に感謝を述べ、同施設の紹介を行いました。

「Technology CUBEは、『この先100年、働く場、働き方そのものをR&Dし、未来を創る現在進行形の実験場』をコンセプトとしており、『Well-Being』『Sustainability』『Flexible Laboratory』の3つの考え方を大事にしています。私自身働き方にとても強い興味関心があり、EX(Employee Experience)について研究する部門を立ち上げて、日本全国のみならず世界各国の働く現場を研究してきました。その中で得た叡智を結集させたのが、この施設です」。

目覚ましい仕事の成果の背景には、素晴らしい仕事のやり方が伴うと考え、さまざまな働き方を研究してきた小川さん。共創もその一つで、いかに革新を生めるかに積極的に挑戦してきました。一方、地域連携には課題を抱えており、小川さん自身地域とのつながりは薄いと話します。

「私は通勤で駅からここまで来るのですが、通るのみでそれ以外にほぼ地域とのつながりがありません。今後の地域連携を考えたとき、それでは良くないだろうと。Technology CUBEを拠点として、ここにいらっしゃる皆様や市民の方々と何かご一緒したい。今日この場の風景を見て、その期待が益々大きくなりました。ぜひ弊社が得意としているものづくりや教育などの領域で、皆様と共創ができれば嬉しいです」。

第1部のパネルディスカッションのトリを務めたパナソニックHD役員の小川 立夫さん

髙橋氏と小川さんの話を受け、宮本氏は両者の話の要点を「交流」と「開く」というキーワードにまとめました。特に後者に関しては、これまで地域に対してあまり開かれていなかった企業が積極的に開いていこうとする姿勢に注目。再び小川さんにバトンを渡します。

「先ほど申し上げたように、EX革新を進める部門を立ち上げて以来、日本全国のみならず世界各国へ足を運び、先進的な働き方や取り組みに触れてきました。すると徐々に『なんでこれが門真でできへんのやろか』との疑問が湧き上がってきたんです。EX革新では、MonthlyMeeetupのように外部からさまざまなバックグラウンドを持った方々を招聘して互いに学び合っています。こうした取り組みを、新施設誕生を皮切りにもっと加速させていきたい、地域に開いていきたいと考えています」。

小川さんの話に幾度となく頷きながら耳を傾けていた髙橋氏は、自社の実践の紹介と「生活者として地域と関わる」重要性について次のように話しました。

「私どもが指定管理を受けて地域に入っていく際、とても大事にしていることがあります。それはその地域での“生活者”になることです。実際に地域に住み、暮らしてみることでしか見えない部分や築けない人間関係がある。どんな人がいて、どんな暮らしをしていて、どんな希望や課題を抱えているのか。そこを知ることで、本当の意味で地域に入っていけるのだと思います」。

地域に開くため、どのような実践を重ねてきたかを語る髙橋氏。

髙橋さんが話し終わると、小川さんがマイクを握り、「KADOMADOが開館したあかつきには、私自身が身をもって地域に開く姿勢を示したく、絵本の読み聞かせをさせていただきます」と応答。会場には笑いと拍手が巻き起こり、共創の芽吹きを祝う空気で包まれました。

笑顔で登壇者の掛け合いを見守る参加者の皆様。

共創の嚆矢となったEX革新。地域に新たな価値の創出を

前半のパネルディスカッションを終え、バトンは会場へ。近くの参加者同士でグループをつくり、前半の話を振り返ります。それぞれ互いに立場や肩書が異なる中、フラットに感想を共有する姿が印象的でした。

グループで感想を共有したあと、第2部のパネルディスカッションがスタート。テーマである「それぞれが描く『場』の5年後、10年後のありたい景色」について、各々が描く未来像を語りました。

2部のトップバッターを務めたのはCCC社長の髙橋氏。宮本氏からの質問に、「5年、10年という期間が大事」と答え、KADOMADOの未来について話し始めます。

「5年という歳月は、小学生を高校生に成長させ、高校生を社会人に成長させる長さです。この5年はとても大事で、過ごす場によって得られたさまざまな学びや気づき、そして交流することで築かれた地域や人々との関係が、その後の人生に大きな影響を与えることになります。『KADOMADOがあったから私の人生はこうなった』みたいな話がもしかしたら出て来るかもしれない。そんな未来をつくる場に、パナソニックさんをはじめ地元企業の方々に参画いただき、若い世代と関わっていただきたいなと思います」。

自身の語る5年後、10年後の未来情景に、「とてもわくわくします」と笑顔をこぼす髙橋氏。それに同調した宮本氏は、「小川さんの描く未来はいかがですか?」とバトンをつなぎます。

それぞれの描く未来について深掘りする宮本市長

「我々は、創業者の松下幸之助の時代から、『物と心がともに豊かな理想の社会』を掲げています。これを実現するために“水道哲学”━日本がとても貧しかった時代に物資をあまねく人に届けることによって貧困に打ち勝とうとする考え━を実践し、品質の高い家電製品を安く大勢にお届けしようと努力してきました。時代は変わり、現代ではエネルギーや資源、そして働く人の生きがいや人々の思いやりが“水”にあたると考え、これらが巡る社会を目指しています」。

小川氏はそう述べ、技術未来ビジョンの考え方を紹介。Technology CUBEがビジョン実現の起点となり、地域社会に開かれた共創の場として活用されてほしいと期待を語りました。

話の最後、「宮本市長のお立場ではどのようにお考えですか?」と、小川さんから宮本氏に質問がありました。KADOMADOがあることで、5年、10年後の門真市がどのような未来を迎えているか。その期待について、宮本氏は「教育」をキーワードに次のように述べました。

「昨今、デジタルやAIの台頭を背景に、理数教育や22世紀型の人材育成が求められています。当市としては、KADOMADOが学びの拠点として、パナソニックをはじめさまざまな地域企業と連携しながら、次世代の人材を育成する場となってほしいと願っています」。

三者の描く未来には、それぞれが大事な登場人物として数えられていた

ここで三者三様の未来情景を語り合ったパネルディスカッションの第2部が終了。続いて具体の話へと進みます。門真市、パナソニック、CCCから、現在動いている共創の実践が発表されました。

KADOMADOのラボについて紹介する門真市の勝連さん
企業連携を進め、ラボを活用し、門真独自の学びのコンテンツを開発したいと展望を語った。
勝連さんの話を受け、実際にラボで実践している共創の取り組みについて発表するパナソニックの清水さん
体験的な学習を重視しており、実際にプログラミングで照明を光らせるワークショップを実施したり、同製品を活用したワークショップを実施中。
KDOMADOの館長を務めるCCCの組谷さんからは、ラボを活用して実現したいことが紹介された。
子どもの創造性を発揮する場である2つのラボは、地元企業と連携し、共創する中で育てていきたいと語った。

ここまでの発表を聞いて気になるのが、「なぜ共創が生まれたのか?」の部分です。企業同士、共創を行うにはいくつか乗り越えなければならないハードルがあり、一筋縄ではいきません。外部と連携する際に阻害要因となる規則や社内風土などをどのように変革し、共創を進めてきたのでしょうか。

ここで立役者となっているのがEX革新課です。小川さんの話にあったように、EX革新の取り組みの一つであるMonthlyMeeetupでは、外部からさまざまな領域で活躍する講師や参加者を招聘し、越境した学びのコミュニティを築き上げてきました。その過程で、少しずつ社外の方々との関係構築と連携しやすい仕組みを整えてきたのです。

入館申請の円滑化や、社員のみのエリアと社外の人が入れるエリアのゾーニング、情報共有・連絡ツールの共通化などを行い、連携しやすい土壌を耕し続けていた

官民連携プラットフォームである「KKPC」は、そうした積み重ねから生まれた新しい連帯です。門真市の清水さんは、KKPCの展望について次のように述べました。

「現在定期的に開催しているMonthlyMeeetupでは、多様な方々が集い、対話を通じて新しいつながりとアイデアが育まれてきました。その次の段階として、KKPCではアイデアを練り上げ、プロジェクトを具体化するフェーズへ進行。最終的なアウトプットとして、地域でプロジェクトの実践を行い、新たな価値創出を通して持続可能なまちづくりに貢献します。この実践の舞台として、KADOMADOはもちろんのこと、新たに誕生したパナソニックのTechnology CUBEも活用していきたいと考えています」。

官民連携プラットフォーム「KKPC」について発表する門真市の清水さん
KKPCを含む循環型のまちづくりの流れ。3ステップで進行する予定だ
登壇者の発表に真剣に耳を傾ける参加者たち

地域のエリア価値向上を、今ここから

実践事例の紹介とKKPCの説明がなされた後、プログラムは最後のクロージングセッションへ。「今回のパネルディスカッションをとのように感じたか」という問いに、髙橋氏は「多様な人々がごちゃっと交わる場に可能性を感じました」と答え、会場の参加者に「一緒に未来を創り出していきましょう」と繰り返し共創を呼びかけました。

一方、「これまでは弊社の社員ばかりだった職場が、最近になって社外の方々が多く訪れ利用されるようになった。今日の風景もまさにそう。今までになかったこの風景を、嬉しい驚きをもって眺めています」と語った小川さん。少しずつ開かれ始めた社内風土と、その起点となっているTechnology CUBEの様子に、目尻を下げて喜びを表しました。

お二人の話を受け、宮本氏は「門真にはまだまだ成長発展の伸び代があるし、多くの魅力的な企業や今日紹介されたプロジェクトもある。ぜひ各位との連携を強固にし、市のエリア価値向上に繋げていきたい」と述べ、セッションを結びました。

大盛会となったMonthlyMeeetupを、壇上から嬉しそうに眺める3者。

地域に開かれた場として、積極的な参画を呼びかけたKADOMADO。そして、国内最高レベルの技術力を武器に、新しい共創の未来情景を描くTechnology CUBE。未来の地域社会を牽引する両者の歩みが、一筋の道にゆっくりと合流していく。そんな足音が聞こえるような2月のMonthlyMeeetupでした。

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