「場を創る力」が組織の未来を変える―コミュニティマネージャーという新たな視点―

AIの時代こそ、人と人をつなぐ力が求められる
技術の進化によって効率化が進む現代社会。特にAIの発展により、多くの業務が自動化され、「正解」がすぐに手に入る時代になりました。しかし、そんな時代だからこそ、人と人がつながり協働する意味や、オフィスに集まる価値が問い直されています。
当社のEX革新室に所属する甫足さんは、そんな時代に必要な新たな視点を見出しました。それが「コミュニティマネージャー」です。今回は、JCCO(一般社団法人日本コワーキングスペース&コミュニティマネージャー協会)の認定コミュニティマネージャー講座を受講された甫足さんに、その経験と学びについてお話を伺いました。
キャリアの転機と「場づくり」への気づき
「モノづくり、コトづくりをしてきた技術屋としてのキャリアの各段階で価値観が変わってきたんです」と甫足さん。20代では「どこで働くか」、30代では「何をするか」、40代では「誰と働くか」を重視してきたといいます。そして50代になり、初めて内側に目を向けて「どんな気持ちで仕事に向き合うか」のマインドがもっと大切だと気づいたそうです。
「最近になって再び『どこで働くか』が大事だと思うようになりました。社内外でいろんな価値観の方と触れ合えるEX革新室という環境で働くことが本当に楽しくて、自分がイキイキできる場所だと感じています。自分の強みが認められ、『ここに居ていいんだ』と思える職場は幸せです。」
甫足さんが考える理想の働き方とは、単に効率よく業務をこなすことではなく、自分らしさを発揮しながら周囲に良い影響を与え、ともに成長できること。そのために必要なのが「場づくり」の視点だと語ります。
コミュニティマネージャーという新たな武器
「コミュニティマネージャー講座を受けて最も良かった点は、既に持っていた考え方や実践していたことが体系的に整理できたことです」と甫足さん。
講座では理論だけでなく、実践に必要な視点も学んだといいます。特に印象的だったのは、アソシエーションマネジメント(組織の管理)とコミュニティマネジメント(関係性の管理)の両方が必要だという考え方。トップダウンによる管理も大切ですが、ボトムアップする上でのメンバー間の横のつながりも同様に重要であるという視点は、日々の業務における指針になっているそうです。
「コミュニティマネージャーと名乗れることが、自分の強みや役割を明確にする上でとても大きな自信になると同時に責任も感じています。リーダーになる人には必ずこのコミュニティマネージャーのスキルが必要ではないかと思うほどです。」

小さな場づくりから始まる変化
甫足さんにとって「場を作る人」とは、大きなイノベーションを起こす人だけではありません。
「世の中にないものを作るというのはもちろん大事。でも、日々の会議の中で誰かとともに笑ったり、共感したりする小さな瞬間も、自分がいなかったら生まれなかったことです。そういう小さな場づくりの積み重ねが、最終的に大きな変化につながるのだと思います。」
このような考え方は、まさに当社が目指す「私たちがいなければ生まれなかった世界を作る」というミッションにも通じるものです。
キャリアを深める視点としてのコミュニティマネジメント
興味深いのは、甫足さんがコミュニティマネージャーというスキルを、キャリアを「広げる」ものではなく「深める」ものとして捉えている点です。
「働く体験をアップデートさせるために、一人ひとりのありたい働き方と現状のギャップの中で、いかにして現場の働きにくさを省いて、働きやすさを実現させていくのか。その補助線がコミュニティマネージャーの役割ではないでしょうか。」
「コミュニティマネージャーのスキルだけを武器にするのではなく、自分の既存のキャリアや強みの上に、このスキルを掛け合わせることが重要です。自分の軸となる専門性を持った上で、コミュニティマネジメントのスキルを広げていくと、より視座が高まります。」
AIの時代だからこそ求められるスキル
「AIの時代では、答えや効率化、成果物はすぐに手に入るようになります。そんな時代だからこそ、人が人と一緒に仕事をする意味や、オフィスに集まることの価値がより重要視されていくでしょう。」と甫足さんは語ります。
仕事が単なる「作業」ではなく、自分自身の成長や他者との関わりを通して意味を見出せる場になれば、「月曜日が楽しみな職場」が実現できるのではないでしょうか。そこでは「やらされ感」がなく、たとえ困難な課題であっても前向きに取り組める環境が生まれます。
「EX革新室に来て一番の自身の変化は、仕事が単なるシゴトじゃないということ。やらされ感がゼロなんです。面倒と感じるようなことももちろんありますが、それでも苦ではない。「生きる」と「働く」の区別がなくなってきているからだと思います。」
おわりに - 「場づくりをできる人」の可能性
甫足さんの話から見えてきたのは、「場づくり」という視点が単なる職能を超え、組織と個人の関わり方を根本から変える可能性です。特に、組織のミドルマネジメント層にとって、チームのメンバーをつなぎ、場を創る力は今後ますます重要になっていくでしょう。
「場づくり」の視点を持ち、組織内外の「いい働き方」「おもしろい働き方」をファシリテートできる人材が増えれば、自ずと働き方への意識変容が生まれていきます。
そしてそれは、AIが代替できない人間同士のつながりと創造性の源泉となるのではないでしょうか。
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