Interview 新材料開発の世界でAIによるイノベーションを起こす

新材料開発の世界でAIによるイノベーションを起こす

ものづくりは素材作り

2017年4月から材料デザインに関わる森川研究員の専門は「インバースマテリアルデザイン」。このような材料を作りたいと、要望があったときに材料のもとになる最適な素材をデータ解析で求めて提示する。「総合メーカーにはなかなかない」という森川の仕事だが、「ものづくりの競争力をつきつめると、素材の競争力」と強調する。昨年まで専門だった脳波や人工知能の分野を取り入れ、革新的かつ効率的な素材開発を探っている。

インタビュー風景

「世界初」を作る

「ロボットを作りたい」と、学部時代の学科は電子機械工学。ロボットに関わる中で、人の脳に興味を抱き大学院では人工知能に研究内容を移し、「様々な分野の専門家が集まっている」パナソニックに入社した。電池開発なら、素材の専門家や製品化に至るプロセスの専門家などと議論を重ね、「総合力が問われる仕事。材料だけ研究していたらできない」と胸を張る。
素材探索に人工知能を取り入れることで、人間が選択することに比べて膨大な数を瞬時に計算して提案する。素材探しの選択範囲が飛躍的に広がり時間も短縮できることで、「世界初の素材を作っていくことが使命」だ。パナソニックが手掛けていない材料も、AIでデータ化していく。パナソニックの社員でしかアクセスできない、良質なデータは長い歴史の中で膨大に積み重ねてきたもの。莫大なデータを用いて、いまあるものよりさらに高いレベルの素材を追い求める。

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研究者の命は思考回路

森川の扱うものは主に数字だ。ただ、モットーは何が目的なのかを常に考えること。常識だと思うことが実は違うのではないか――。医療画像診断や自動運転の画像データ処理など、様々なバックグラウンドを持った研究者と肩を並べ議論するから「イノベーションが起きる」。素材開発は日々競争が激化している。結果が重視される世界で森川はあえて言う。「研究者は自分の思考回路からものやアイデアを生み出すことが大切だ。なんでも検索できる時代にはますますそうだ」。結果はすぐに出る物ではない。革新を起こすため、日々研究をつきつめていくことが、なによりのモチベーションだ。

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森川 幸冶

テクノロジーイノベーション本部
専門:人工知能、情報科学【博士(工学)】